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村上春樹 | 初心者にオススメ小説7選!

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村上春樹の作品は、読書をあまりしない人には長くて難しいと言われていたり、独特の 癖があると1部では敬遠されているらしい。

人によっては、最初の1冊が長編で途中で挫折したとか、デビュー作である『風の歌を聴け』から読んで、あまりの自由さに置いてけぼりをくらったなど、様々理由はあるだろう。 

そこで、この記事では、村上春樹初心者に向けてオススメな読みやすい作品5選と、村上ワールドにどっぷり浸れる作品2選の計7選を紹介したいと思う。

2017.05.29 おすすめ小説部分について一部加筆しました。

村上春樹作品の魅力

まずは、簡単に村上春樹作品の魅力について紹介しようと思う。あくまで、村上春樹の1ファンである私が感じる魅力の面なので、世間一般からした公平なジャッジではないが。

村上春樹とMr.Childrenの類似性 ミリオンセラーの理由

個人の意見だが、村上春樹作品とMr.Childrenは、ある部分で近いものを持っていると思っている。それは作品の世界観とかではなくて、読み手が感じるものとして。

「何を言ってるんだ?」と思われるかもしれないが、

わたしの周りにいる村上春樹とMr.Childrenの両ファンの人には、意外にも共感してもられることが多い。

理由を簡単に言うと、まるで自分(読書個人)のために描かれているかのように、個人の心の奥底に眠っていた気持ちや言葉が表現されている部分が、村上春樹とMr.Childrenから共通して感じとられるからだ。

つまり、百人の読者がいれば、百通りの読み方ができる類の作品だということだ。

それでいて、感情移入できる部分はとてもニッチな事が多い。自分にとっての強い部分、あるいは弱い部分をさりげなく描写してくれる。

大衆向けに書かれているはずなのに、どこかで自分とピッタリ重なる部分がどこかに含まれているような、そんな魅力が村上春樹作品には溢れている。

これについて、『村上春樹 雑文集』の中で触れられている箇所があったので、ここに引用したい。ちなみにこの本に書かれていた、「小説家」の定義についての話はとても興味深かったので引用したい。

 ときどき年若い読者から長い手紙をもらう。彼らの多くは真剣に僕に向かって質問する。「どうしてあなたに、私の考えていることがそんなにありありと正確に理解できるのですか? こんなに年齢も離れているし、これまで生きてきた体験もぜんぜん違うはずなのに」と

 僕は答える。「それは、僕があなたの考えていることを正確に理解しているからではありません。僕はあなたのことを知りませんし、ですから当然ながら、あなたが何を考えているかだってわかりません。もし自分の気持ちを理解してもらえたと感じたとしたら、それはあなたが僕の物語を、自分の中に有効に取り入れることができたからです」と。

 仮説の行方を決めるのは読者であり、作者ではない。物語とは風なのだ。揺らされるものがあって、初めて風は目にみえるものになる。

 参考:『村上春樹 雑文集』 自己とは何か(あるいはおいしい牡蠣フライの食べ方)より

村上春樹作品は、大学教授の論文や著名人などが「考察」を世の中に発信しているものが多いので、自分の好きな作品が見つかったら、考察をチェックしてみるのもおすすめ。

toyokeizai.net

村上ワールドの魅力 その世界観

村上春樹作品の一番の魅力は、やはり、その世界観だろう。一度ハマると、コッチ(現実)に帰るのが難しくなるほどだ。

さて、前置きが長くなってしまったが、ここから初心者にオススメな村上春樹作品をご紹介していこうと思う。

村上春樹作品 初心者にオススメ5選

1. 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

多崎つくる、鉄道の駅をつくるのが仕事。名古屋での高校時代、四人の男女の親友と完璧な調和を成す関係を結んでいたが、大学時代のある日突然、四人から絶縁を申し渡された。
何の理由も告げられずに――。
死の淵を一時さ迷い、漂うように生きてきたつくるは、新しい年上の恋人・沙羅に促され、あの時なにが起きたのか探り始めるのだった。全米第一位にも輝いたベストセラー!

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』は、村上春樹の小説には珍しく、シナリオの導線がしっかりと敷かれている小説だ。話は一貫して、つくるの過去あった出来事の真相を見つけていく、というスタンスの作品。

ミステリ小説のような構成になっているので、スラスラと読み進めることができる。

テーマも分かりやすくて、小説初心者にもおすすめできる一冊。

2. 1Q84

1Q84 BOOK1-3 文庫 全6巻 完結セット (新潮文庫)

1Q84 BOOK1-3 文庫 全6巻 完結セット (新潮文庫)

 

こうであったかもしれない」過去が、その暗い鏡に浮かび上がらせるのは、「そうではなかったかもしれない」現在の姿だ。書き下ろし長編小説。

「単行本で全6冊もでているなんて、読み終えるのが大変そう」と、最初は思っていたけど『1Q84』は爆面白かった。4、5回は読んでしまった。それくらい、個人的には気に入っている小説。

文学作品というより、エンタメ小説と読んでしまってよいと思う。それくらい、ノベルス作品のような読みやすさがある作品。

ストーリーは、男主人公(てんご)と女主人公(あおまめ)それぞれの2者視点で描かれる。大人のボーイミーツガール。

舞台は1984年の東京。とある出来事をきっかけに、世界の秩序のどこかがねじれ、彼女らにとっての日常が少しずつ変化していく。この世界を彼女は「1Q84」と名付けた。ちなみに物語のディストピア的設定、この小説のタイトルはディストピアSF作品の名著ジョージ・オーウェルの『1984』をモチーフにしている。 

ねじまき鳥クロニクルの笠原メイもそうだけど、村上春樹の小説に出てくる、どこか尖った性格をした少女の魅力はすさまじい。

 3. ノルウェイの森

ノルウェイの森 文庫 全2巻 完結セット (講談社文庫)

ノルウェイの森 文庫 全2巻 完結セット (講談社文庫)

 

限りない喪失と再生を描く究極の恋愛小説!

暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルク空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの『ノルウェイの森』が流れ出した。僕は1969年、もうすぐ20歳になろうとする秋のできごとを思い出し、激しく混乱し、動揺していた。限りない喪失と再生を描き新境地を拓いた長編小説。 

映画化もした村上春樹の代表作

恋愛小説をベースとした作品で、テーマは「成長」と「喪失」。親友キヅキが自殺し、その恋人だった「直子」と主人公ワタナベは再開する。直子はキヅキを失ったショックで精神を病むが、ワタナベとの関係が彼女の心の傷を癒していたようにみえたがー

作中には、もう1人の女性「緑」が登場する。緑はワタナベの同じ大学に通う女子大生。彼女はワタナベのどこか文学的な雰囲気に惹かれ、なにげなくアプローチをかけてくるようになる。次第に緑とワタナベの関係も変化していゆく。

作品では主人公ワタナベの大学生活を描く。この作品の魅力は、大学生時代独特の、あの何とも言えないモラトリアムな時期の描写と異なるタイプの女性との恋愛。一方は献身的で、もう片方はどこか振り回されるような恋。

個人的には、どこか放っておけない直子も魅力的だが、緑のようなサッパリとした女性に惹かれた。ノルウェイの森では、どちらかというと、直子の魅力にフォーカスされている作品だとは思うけれど。

4. 海辺のカフカ

海辺のカフカ 全2巻 完結セット (新潮文庫)

海辺のカフカ 全2巻 完結セット (新潮文庫)

 

君はこれから世界でいちばんタフな15歳の少年になる」――15歳の誕生日がやってきたとき、僕は家を出て遠くの知らない街に行き、小さな図書館の片隅で暮らすようになった。家を出るときに父の書斎から持ちだしたのは、現金だけじゃない。古いライター、折り畳み式のナイフ、ポケット・ライト、濃いスカイブルーのレヴォのサングラス。小さいころの姉と僕が二人並んでうつった写真……。

村上春樹作品を批判する『村上春樹いじり』を書いたドリーさんも、『海辺のカフカ』については、純粋に物語として面白いと評価していた。私個人も、村上春樹作品で読んでいて、一番ワクワクした作品なんじゃないか? と思っている。フランツ・カフカ賞受賞作品。

海辺のカフカは、1Q84と同じく2人の主人公がそれぞれの視点で描かれた作品(リリース年代的には、2者視点は海辺のカフカの方が先)

作中で起こる出来事はSFのようなものが多く、村上春樹作品にありがちな、特に何も起こらない一日を淡々と積み重ねるといった描写はそこまで多くはない。純粋に物語として面白い。

物語の終わりが名残惜しい、とまで感じさせてくれる作品。海辺のカフカは定期的に読み返したい。

村上春樹いじり

5. スプートニックの恋人

 22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋だった。それは行く手のかたちあるものを残らずなぎ倒し、片端から空に巻き上げ、理不尽に引きちぎり、完膚なきまでに叩きつぶした。―そんなとても奇妙な、この世のものとは思えないラブ・ストーリー。

村上春樹が描く女性が好き、村上春樹のコピーライターも羨むあの絶妙なの言い回しが好き、という読者にはおすすめしたい作品

村上春樹成分を多く含む女性「すみれ」と仲の良い主人公、すみれが憧れを抱くキャリアウーマン「ミュウ」の三人が物語の主軸となっている。

私個人は『スプートニックの恋人』で扱われる絶妙な言葉の言い回しや、どこか真似したくなるような会話運びに惹かれ、村上春樹作品の魅力にますますハマっていった。

この作品は、物語にも注目して欲しいけど、一つ一つの言葉の言い回しや、芸術的なまでの比喩表現をたっぷり味わってほしいと思う。

村上春樹 村上ワールドにひたれる作品2選

1. 世界の終わりとハードボイルドワンダーランド

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 全2巻 完結セット (新潮文庫)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 全2巻 完結セット (新潮文庫)

  

高い壁に囲まれ、外界との接触がまるでない街で、そこに住む一角獣たちの頭骨から夢を読んで暮らす〈僕〉の物語、〔世界の終り〕。老科学者により意識の核に或る思考回路を組み込まれた〈私〉が、その回路に隠された秘密を巡って活躍する〔ハードボイルド・ワンダーランド〕。静寂な幻想世界と波瀾万丈の冒険活劇の二つの物語が同時進行して織りなす、村上春樹の不思議の国。

2年に一回くらい読み返している。谷崎潤一郎賞受賞作品。

読書芸人の「ピース又吉」の絶賛している作品。

2. ねじまき鳥クロニクル

ねじまき鳥クロニクル 全3巻 完結セット (新潮文庫)

ねじまき鳥クロニクル 全3巻 完結セット (新潮文庫)

 

僕の考えていることが本当に正しいかどうか、わからない。でもこの場所にいる僕はそれに勝たなくてはならない。これは僕にとっての戦争なのだ。「今度はどこにも逃げないよ」と僕はクミコに言った。「僕は君を連れて帰る」僕はグラスを下に置き、毛糸の帽子を頭にかぶり、脚にはさんでいたバットを手に取った。そしてゆっくりとドアに向かった。(本文より) 

個人的にベスト・オブ・村上春樹作品。小説模写をしてしまうほど好き。 読売文学賞受賞作品。

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